デンマーク発『ヒュッゲ』に学ぶ幸せな暮らしの作り方

世界幸福度ランキングで常に上位を占めている北欧の国々。その一つであるデンマークは、日々の暮らしにおいて「ヒュッゲ」という価値観を大切にしています。

- ヒュッゲとは

「ヒュッゲ(Hygge)」というのは、「居心地がいい空間」や「楽しい時間」を作ることによって得られる、あたたかな心の充足感をさすデンマークの言葉です。

気兼ねなく過ごせる家族や恋人、友人とテーブルを囲んで、のんびりとディナーを楽しむ時間。

あたたかな日差しのぬくもりを感じて、ゆったりと散歩をする時間。

お気に入りのカフェでコーヒーを飲みながら、読書を楽しむ時間。

キャンドルに火を灯して、ゆらゆらと揺れる火を眺める時間。

これら全て、「ヒュッゲ」なひとときと言えるでしょう。


- 『ヒュッゲ』に学ぶ、幸せのヒント

1. モノとの付き合い方

デンマークの人々は、小さな幸せを見つけ、心を満たすのがとても上手です。その幸せは、次々と沸き起こる欲望を満たすようなものではなく、今あるものに感謝し、大切にすることによって生まれます。

自分にとって本当に必要な、愛着を持てるものだけを、大切に手入れしながら使う。それが、「ヒュッゲ」なモノとの付き合い方です。

こうした習慣を続けているうちに、自然とお気に入りに囲まれた心地よい空間ができて、暮らしの愛用品から「ヒュッゲ」を感じることができます。

2. 仕事との付き合い方

デンマークでは、家族と過ごす時間を大切にしている人が多いため、ワークライフバランスが重視されます。

「必ず定時までに帰る」という意識が強く、年間の平均労働時間は、日本よりも約250時間ほど短いそうです。

短い労働時間なのだから、生産性が低いのかというと、そうではありません。近年、デンマークの一人当たりGDPは、日本の2倍に迫る勢いとなっています。

このような結果となっている要因は様々ですが、限られた時間の中で、できる限り効率よく仕事をして成果をあげ、仕事以外の暮らしも大切にするというメリハリのある働き方が、結果として、仕事の質と、暮らしへの満足感の両方を高めているのは、間違いありません。

国の制度や文化の違う日本で、そのような暮らしを完璧に再現するのは難しいかもしれませんが、これからの時代を生きる私たちの“幸せ”とは何かを考える上で、参考になる価値観ではないでしょうか。

3. 人との付き合い方

気心の知れた友人や家族など、心許せる人と一緒に過ごす時間もまた、ヒュッゲの醍醐味。

ヒュッゲを大切にしている国では、気軽にホームパーティーを楽しんだり、ちょっとしたお茶会を開く人が多いのも特徴です。

人を家に招くとなると、「食事は何を作ろう」「どのようにもてなそう」「部屋をきれいにしなくては」と、頭を悩ませてしまいますよね。

しかし、北欧の人々は「ヒュッゲ」という心の状態を大切にしているため、そのような無理はしません。招待する側も、される側も、全員が楽しい時間を過ごすという意識が根付いているためです。

そして、大切な友人や仲間と素敵な時間を共有できたときには、感謝を伝え合います。

このように、見栄をはらず、素の自分を見せることで、お互いが心地よい素の付き合いに繋がるというのが、幸せの国デンマークの人々に根付いている思考なのだそうです。


- 私たちの暮らしに、既にある「ヒュッゲ」

日本には、ヒュッゲに代わる言葉はありません。しかし、私たちは暮らしに「ヒュッゲ」を簡単に取り入れることができます。

何か特別なことをする必要はありません。日常にある小さな幸せに目を向け、その瞬間を大切にすることから始めれば良いのです。

そのように心がけるだけで、暮らしの満足感が高まり、毎日が今よりも彩りに溢れたものになるのではないでしょうか。

皆様の暮らしが、たくさんの「ヒュッゲ」で溢れますように。